どぐぽたトップページ

『どぐぽた。』編集部が行く! 山梨/長野の旅 PART4

2015年10月7日 書いた人:ヤケマチ
IMG_0422

 

どぐぽた編集部紀行PART4です。すっかり長くなってしまったけど、もうちょとだけおつきあいください。

 

PART3から一夜明けた9月22日。我々はまず宿泊先のキャンプ場にほど近い、縄文中期の拠点集落、梅之木遺跡に立ち寄りました。PART3で紹介した両面宿禰の釣手土器が出土した遺跡っすね。

 

山梨県茅ヶ岳西麓標高800m、前方左手に南アルプスの変化に富んだ稜線、右手に八ヶ岳の雄大な裾野が伸びるベストビューポイント。縄文人が好んで住んだ土地は、現代の我々が見ても惚れ惚れするような景観の広がる場所が、どうもやっぱり多い気がします。

DSC07618

 

梅之木遺跡は現在までの調査の結果、150軒を越える竪穴式住居で構成された直径100mほどの「環状集落」と考えられています。150軒が同時に存在したのではありませんが、中期縄文人がこの見晴らしのよい台地の上で、代々の土地を受け継ぎながらくりかえし生活を営んできたことがわかってきています。

DSC07621

 

耳をすませばかすかに川の音が。梅之木遺跡は住居のあった台地とその直下ある川を結ぶ「縄文の道」の跡が検出されたことでも知られています。道を下ると梅之木縄文人が利用したと考えられる川辺の遺構も発掘され、これまで全国で確認された「縄文の道」約40例の中でも、集落との関係が想定できる希有な遺跡とされています。

DSC07624

 

草はぼうぼう、虫には刺さされ放題で、縄文の道探索は断念。梅之木遺跡は昨年国の史跡に指定され、現在史跡公園化の計画がすすめられているそうです。公園のオープンまで縄文の道探索はおあずけかな…。

 

 

さて、茅ヶ岳西麓から八ヶ岳南麓へ。次の訪問地は北杜市考古資料館です。土偶マニア驚愕の企画展『北杜の土偶〜うつりゆく祈りのかたち〜』展がちょうどまだ始まったばかり。

DSC07639

 

『どぐキャラ総選挙』の宣伝もぬかりなく。

DSC07642

 

ここからは土偶の日運営委員会会員、長野県北相木村考古博物館学芸員、藤森英二さんに合流していただきました。

IMG_0661

 

 

 

 

 

さて『北杜市土偶』展。山梨は岩手県につぐ大土偶王国です。PART1で訪問した甲府盆地東端、釈迦堂遺跡の出土数が一遺跡として破格すぎることもありますが、地域として見ると甲府盆地西端〜八ヶ岳南麓、現北杜市域から出土した土偶もほぼ1000点。これは全国から見るとやっぱりとんでもない数です。今回の『北杜市土偶』展はこのうち約700点が、希少な顔面把手付土器、土偶装飾付土器と合わせて、決して広いとはいえない企画展示室にみっしり。こんな企画展、ほんとめったにないと思う。いったいどこから見ていけばよいのか。

 

まあ端から見ていくしかないんだが。

DSC07704

 

とりあえず『どぐキャラ総選挙 FINAL』エントリーNo.29。チビーナス(たち)から見るか。

29

 

チビーナスどれや? 

IMG_0300

 

いたいた、上の写真のいちばん左下。身長5.3㎝。やっぱりちっくいっすね。ほかの土偶の顔サイズだ。

 

 

リアルチビーナス。東北には八頭身ビーナスとかもいるけど、こっちは二頭身で勝負。

IMG_0304

 

ミニ土偶はわりと作りが雑だったりする印象があるんだけど、チビーナスは細かいところまでよく作り込まれているのがすごいと思います。

 

 

こうして見るとひとくちに土偶といっても、ひとつひとつやたらと個性のあることがよくわかる。縄文中期前半、八ヶ岳南麓周辺と時間と空間を限定したところでなお、これだけのカオスな状況。

IMG_0301

 

江戸時代の武家屋敷「屋代氏館跡」の地中から出土した土偶の面々。三匹の侍を思わせるいちいち癖のある面構え。

DSC07862

 

part2で紹介した『どぐキャラ総選挙FINAL』エントリーNo.28「にらみん」みたくお肌をツルツルに磨きあげた土偶があるかと思えば、お肌ザラザラ砂だらけ土偶も。この子はさすがに砂まじり過ぎやろと思うんですが、もしかしたらこれはこれである種の美学だったのかもしれない。ふた昔前のガングロJKが、あれはあれで彼女たちの美学だったみたいに。

IMG_0309

 

あー、こちらは茅野市棚畑遺跡の国宝「縄文のビーナス」のそっくりさん系。

IMG_0395

 

頭のてっぺんに穴三つ。

IMG_0396

 

国宝「縄文のビーナス」の頭部はグルグル渦巻だったな。

 

んじゃこの人の頭はどうなっているのかな?

IMG_0398

 

ワッフルワッフル!

IMG_0399

 

 

にこやかな笑顔だけど。

IMG_0402

 

なにやら呪いの図像のような文様がほどこされて油断ならない。

IMG_0404

 

 

 

次に紹介するのはまるめちゃんシリーズ。まずは茅ヶ岳西麓 平林遺跡出土、本家「まるめちゃん」

リンクの明野歴史民俗資料館/北杜市埋蔵文化財センターはPART3で触れたとおり、現在一般公開されていません。
 

IMG_0247

 

続いて釜無川右岸、旧武川村。向原遺跡のまるめちゃん。

IMG_0240

 

こっちが八ヶ岳南麓、寺所第2遺跡のまるめちゃん。

IMG_0435

 

土偶や顔面把手の両目をこんなかんじの「丸目」で表現する流儀は、今のところ日本じゅうの中期土偶的にもそんなに多くはない、かなり特異な手法だという印象があります。ここで紹介した3つの遺跡は全国的に見れば現北杜市域というごく狭い範囲にあった縄文ムラで、それぞれの作者はお互いの「まるめちゃん」作品を知っていたのかな? とか、もしかしたら作者は親子とか孫と子とかだったのかな? とか、、、縄文妄想は火がつくとがなかなかとまらないのがやっかいなところ。

 

んで、北杜市といえばこれだけはどうしてもはずせないです。諏訪原遺跡出土、土偶装飾付有孔鍔付土器。「縄文土器の巧い下手」は時々語られるテーマだけど、これは諏訪原ムラ屈指の、土器づくりに長けた手練の縄文人の作品ではないかと思うのです。今はなきウラ側とかどうなってたんだろ?   

DSC07786

 

『北杜市土偶』展。縄文中期前半のがいろいろありすぎてまだまだぜんぜん紹介したりないんですが、きりないんで、ものすごくはしょって中期後半以降の土偶も、ちょっとだけ。

 

柳坪A遺跡(縄文中期後半)。梅干し食ってスッパマン。

IMG_0457

 

酒呑場遺跡(縄文後期)。穴がちょっと多いっすね。

IMG_0495

 

金生遺跡(縄文晩期)。縄文時代がほとんど終わろうとしている時期の有名な「中空土偶」です。「中空土偶」とはいうけれど、ここまで異形化がすすむと、はたしてヒトを模した土偶といえるのかどうなのか。これを「土偶」と呼ぶことに異を唱える研究者のかたも。

DSC07753

 

 

つうわけで、北杜市考古資料館企画展示『北杜の土偶』展は、来年2016年1月31日まで。まだまだ余裕で開催中です。700点超の土偶があなたをお待ちしています(要体力)。

hokutonodoguu_2

 

PART5で終わらせたい!