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遺跡の上空で愛を叫ぶ ~下野谷遺跡公園VR体験~

2017年4月11日 書いた人:ホリユキハ

 

歴史を楽しむには少しばかりの知識が必要だ。

史料や地形とにらめっこした後でふと顔を上げると、これまで見えなかったものが見えてくる瞬間があり、その感覚は歴史を学ぶ醍醐味の一つではないだろうか。

だからこそ歴史の一つである縄文時代の魅力を、何も知らない人にその場ですぐに伝えるというのは難しい。

土器や土偶などに一目ぼれしてもらえると話が早いが、博物館のガラスの中でじっと待ち続けるのはいくら悠久の時を経た土器であっても悲しいものじゃないかと考えたりもする。

 

でも、もっと縄文時代のことを知ってもらいたい。

もっと縄文時代のことを話せる友達を作りたい。

 

今回訪れたイベント「VRで下野谷遺跡を大冒険!!」は、そんな願いを叶えてくれるかもしれない。

このイベントは西東京市と市教育委員会が本格運用に先駆けて公開したもの。

VRとはバーチャルリアリティの略で、タブレットなどを使って縄文時代の〝したのやムラ″へ遊びに行くことができる。

訪れるのは4500年前の9月15日。

 

下野谷遺跡は、西東京市に所在する縄文時代中期(約5000年前から4000年前)の環状集落群で、その規模は南関東では最大級であり、2015年には遺跡公園を中心とした集落の一部が国の史跡に指定されている。

遺跡公園は西武新宿線の東伏見駅から徒歩5分程の場所にあり、新宿からなら電車と徒歩合わせて30分くらい。

石神井川を臨む開けた高台の上にあり、マンションポエムが詠えそうな好立地だ。

晴れていたら公園での開催だったが、この日は雨のため近隣の小学校へ変更となった。

冬に逆戻りしたような寒さの中、多くの人が訪れていた。

 

 

ダウンロード (6)

雨のしぶきが

 

 

ダウンロード (7)

寒さに負けない大勢の参加者

 


オリジナルグッズやフードも充実

 

 

ムラを巡る

 

VRポイントは、ムラの生活・川を使った交易・森のめぐみ・空から見たムラの4つがあり、実際には公園内にポイントが設けられるが、今回は体育館内を巡っていく。

最初に案内されたムラの生活ポイントでは、当時のしたのやムラを360°ビューで楽しめるようになっている。

さっそく貸出されたタブレットを持って左右を見回すと、左側にムラびとの姿が見切れた。

すぐに体ごと左を向けると、数人のムラびとが集まっているのを発見した。

どうやら収穫した木の実を選り分けているようだ。

当時の縄文人の姿や暮らしぶりについては既に知っているけれど、自分で発見しながらムラの様子を覗いていると、本当にタイムスリップしたような気持ちになってくる。

 

バーチャルリアリティって楽しい…。

これなら縄文時代のことを知らない人にも楽しんでもらえそう。

 

 

ダウンロード (11)

ムラびと発見!

音声や文字での詳しい解説があり、竪穴式住居の中にも入れる。

 

 

川のポイントでは遺跡内を走る石神井川を利用してムラびとが舟で遠くまで交易に行っていた様子を、森のめぐみのポイントでは狩猟と採集の二つの様子を観察することができる。

また各ポイントにはミニクイズや土器や石器などが3DCGになって360°で眺められる仕掛けがあり、縄文初心者から上級者まで楽しめる内容になっている。


タブレットの画像。ここから冒険が始まる。

 

 

空を飛ぶ

 

「みなさん、タブレットを持ったままジャンプして下さい。せーの」

最後のポイントで案内係の人にそう言われ、参加者みんなでジャンプをした。

すると視点がふわりと浮かび、私は飛んだ。

鳥になったというよりすごいジャンプ力を身に着けたみたいに上空へと浮かび上がり、ぐるりと遺跡を俯瞰しながらゆっくり下降していく。

景色も去ることながら浮かび上がる感覚も気持ちよく、何度もジャンプしてしまった。

バーチャルリアリティって楽しい…!!

 

 

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空を飛ぶ。

 

 

遺跡の上空で愛を叫ぶ

 

体験終了後、下野谷遺跡公園へ行ってみた。

公園は芝生の広場となっていて、すぐ隣の石神井川を挟んだ向こうには早稲田大学のグラウンドや馬場があり、当たり前だが馬が見えたりしてなんだかホっとする。

しかし足下に遺跡が眠っていることを考えると落ち着いてなんていられない。

また公園内には竪穴住居の骨格復元や土層模型が建造され、クリやクルミやモミなどを植木した縄文の森があり縄文ピクニックにもぴったり。

ここなら例え家族に一人だけ縄文好きがいたとしても、まだ縄文好きでない他の家族のニーズにも応えるピクニックが可能だ。

 

 

VRでお邪魔した家かも。

 

 

雨降りのせいか私たち以外誰もいない公園で、足下に眠る遺跡について思いを馳せていると、さっき空から見たムラの映像が浮かんできた。

 

ここでもう一度飛びたい。

遺跡の上空で縄文愛を叫びたい。

 

しかし本格運用はまだ先なので、膨らみ過ぎてしまった縄文へ思いを抱えたまま帰路についた。

見えなくなってしまった人間の営みを扱う考古学と、VRの親和性の高さを身を持って感じる体験となった。

 

 

縄文好きもそうでない人も一緒に幸せになれるこの世の楽園。

ここで愛を叫びたい。

 

 

本格運用はゴールデンウィークから

 

下野谷遺跡でのVR体験の本格運用は、ゴールデンウィーク頃の予定となっている。

今後は市からのタブレット貸出は行われず、自分のタブレットやスマートフォンに専用アプリをダウンロードして遺跡公園でポイントを巡ることで誰でも気軽に遊べるようになる。

(遺跡公園でイベントが行われる際には、貸出が行われる場合もある)

また遺跡からの出土品は西東京市郷土資料室にて見学できる。

家族や友人や恋人と一緒に楽しめる、下野谷遺跡公園VRの本格運用が待ち遠しい。

 

リンク:西東京市下野谷遺跡

 

 

どぐパンならぬ下野谷遺跡のキャラクター ”しーた” と ”のーや” のあんパン。

クルミがごろごろ入っていて、リッチだけどあっさりとした味わいで美味しい。