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現代の縄文アート・松山賢展「縄文怪人土偶怪獣」が本日から開催

2017年6月7日 書いた人:dogupota
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アーティスト松山賢さんの個展「縄文怪人土偶怪獣」が新宿髙島屋10階美術画廊にて、
本日6月7日(水)から19日(月)まで開催されます。会期中は無休。
開廊時間は10:00から20:00、金土は20:30まで、最終日は16:00閉場。
http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/event3/

松山さん独自の視点で制作された、縄文土器や土偶などをモチーフにした怪人・怪獣の作品が、約80点が展示されます。

ギャラリートークは
6月10日(土)16:00〜17:00
新宿髙島屋美術画廊にて、青森県立美術館学芸員の工藤健志と松山賢さんで行われます。  

工藤健志さんは、過去に「成田亨が残したもの」展、「縄文と現代」展、「美少女の美術史」展、「成田亨」展などを企画されています。

 このたび髙島屋では『松山賢展 縄文怪人土偶怪獣』を開催いたします。松山賢はこれまでシミュレーショニズムやサンプリングといった手法を用いながらも独自の解釈で「抽象ガール」「風景ガール」「写真の絵」「絵の具の絵」などその都度批評性を孕んだ作品で精力的な発表を続けています。岡本太郎氏が1952年に『みずゑ』誌上で「四次元との対話――縄文土器論」を発表以来、いまや日本文化のルーツとして、また日本美術史の源流として認識される縄文文化。今展では「縄文怪人土偶怪獣」と題し、松山賢が日本人の根源的美術表現としての「縄文」をテーマに制作した油彩・アクリル
の平面作品に加え、野焼きによる立体作品まで近・新作を一堂に展観いたします。
「いきものカード」「動物カード」「怪人カード」に続く怪人怪獣大百科をどうぞご高覧ください。

髙島屋美術部

 

人間は意識の深いところにひそむ「本質」、「根源」に触れられることを忌み嫌う存在と言える。その嫌悪は社会に登録した「わたし」に隠された「もうひとりのわたし」が呼び覚まされる感覚に基づくもので、松山賢の作品と接した時に感じる得体の知れない奇妙な印象もその辺りに由来するように思う。女と男、異形の者、そして動物など松山が扱うモチーフはすべてある種の普遍性を持つがゆえに一方で個々の多様な欲望を飲み込んでいく。松山は頻繁にモチーフの模写、模刻を行うが、それはモチーフの根源を見極め、創造のインスピレーションを召喚するためのプロセスと言えはしないか。無意識の中にある封印された「人間」の記憶。人類の精神史を遡り、あるいは人間の過去に及んで、その深淵を導き出し、現代のイメージとして定立させていく松山。平面、立体を問わずその作品は常に、自我によって封じ込められている無意識的な抑圧への気づきを見る者に誘発する。作品と対峙する人それぞれの心の深層を意識化させるための「鏡像」として松山作品は機能するのだ。
 今回の展覧会では「縄文」、「怪人」、「土偶」、「怪獣」といったキーワードが並び、現代日本人のルーツとされる「縄文」と成人のルーツたる「子供」が等価の着想源となっている。例えば縄文土器の文様を人間の身体や異形の者に引用した表現に、かつての子供たちが夢中になった『図鑑』、『大百科』のカタログ的フォーマットや、今も子供たちを魅了する「カード」の形式を交差させた連作などは、我々の記憶の奥底にある情景をどこまでも刺激していく。とは言え、単に「懐かしさ」を煽るものではなく、作品は現在を侵食する異物として我々の前に立ちはだかる。個性が注意深く消し去られ、遍く一般化されたモチーフはまさに「精緻」という形容がふさわしい描写を伴うが、モチーフをデペイズマン的に組み合わせたり、それぞれに強い意味を持つ文様をある時は背景に、またある時はモチーフを融解させてオールオーヴァーな構成をとったりしながら様々な魔術的効果を発揮させていくのだ。ジャンルを横断して同一コンセプトの作品が制作される点からは絵画、彫刻といったメディアそのものに対する批評性も読み取れるが、まず何よりもひとつのイメージが複雑かつ多様な意味を孕み、見る者それぞれの視点によっていくつもの「未知の記憶/感情」をまるで映像のようにフラッシュバックさせていくことに、松山作品の特質と魅力はあるように思う。

工藤健志(青森県立美術館学芸員)

ギャラリートークの前後には松山さんご本人も在廊される予定です。
展覧会は7月5日(水)〜 24日(月)に日本橋髙島屋、
8月2日(水)〜8日(火)大阪髙島屋に巡回展示されます。