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縄文でもかわいいは作れる!ステルス縄文ホームパーティー

2018年1月10日 書いた人:ホリユキハ

 

明けましておめでとうございます。

本年もどぐぽたをどうぞよろしくお願い致します。

 

今年から新たな企画の一つとして、

縄文好きの女性を増やすべく記事を書いていく予定です。

こちらはその第一弾になります。

どうぞよろしくお願いします。

 

 

縄文でもかわいいは作れる!ステルス縄文ホームパーティー

 

 

二つの縄文作戦

 

考古学分野は女性ファンが少なく、またファン全体の平均年齢も高い。

博物館や大学で行われている講演会に参加しても、女性客をほとんど見かけない。

なので今年は女性の縄文ファンを増やしていきたい。

そしてどうせなら一番ファン人口の少ない、若い女性を増やしたい。

 

私は30代で性別は女なので、

周りに所謂「女子」なる存在が他の縄文ファンの方よりは比較的多くいる環境で

暮らしているのではないかと思うが、

彼女たちの縄文への食いつきはすこぶる悪い。

これはあくまでも私の経験だが、土偶を見せても怖いと一蹴するし、

楽しかった遺跡や資料館の話をしても気の無い返事と共に枝毛を探し始めたりする。

 

しかし気づいていないだけで、

彼女たちを含む私たちの日常生活には縄文文化が息づいているものが多数存在している。

 

今年は東京国立博物館で特別展「縄文―1万年の美の鼓動」が、

またパリでも縄文展が開催され、必ず縄文ブームが来る。

いや、既に来ている。

 

それに乗っかって、縄文好きな女子を増やしたい。

そこで女子の日常にこっそりと忍び込んで、

縄文メタファーをふんだんに紛れ込ませてやろうと思う。

 

日常に潜む縄文文化の再発見を「隠れ縄文」、

こちらからさりげなく縄文要素を紛れ込ませることを「ステルス縄文(ステ縄)」

と名付けた。

この二つの作戦を使って女子だけでなく多くの人に縄文の魅力を伝えていきたい。

 

 

ステルス縄文ホームパーティー

 

ホームパーティーは縄文的である。

竪穴式住居の広さから4~5人くらいが住んでいたとすると、

その人数は現代の核家族とあまり変わらない。

そして中期前葉の関東で広がっていた勝坂式土器集団の住居内には炉があった。

彼らが種火を絶やさないよう家族や親族と共に火を囲んで暮らしていたとすると、

家族と共に食卓を囲む現代人の生活様式は、すでに始まっていたと言える(かもしれない)。

もちろん気のおけない者同士でご馳走を囲むホームパーティーもまた然りである。

 

既に縄文的であるホームパーティーだが、

今回行うステルス縄文ホームパーティーは、

その名の通りパーティーの隙間に縄文要素を挟み込んだものである。

 

このパーティーの参加者には楽しい思い出と共に縄文の情報が紛れ込み、

知らず知らずのうちに、

パーティー=楽しい=縄文というイメージを持つようになる(かもしれない)。

またその時の写真をおしゃれな感じに加工してSNSでシェアすれば、

その投稿を見た人が、縄文=おしゃれというイメージを持つ(かもしれない)。

 

 

女子猛者

 

今回は年末に帰省した際に立ち寄った姉の家で決行したのだが、

先に言い訳しておくと私の姉は女子力(*1 )が異常に高い。

 

好物は桃とチョコとアイスで、部屋は雑貨屋みたいで落ち着かないし、

ラインではやたらと輪郭のふわっとしたファンシーなスタンプを送ってくる。

 

また姉の娘で、7歳になる姪も女子力が高い。

好きな色は赤とピンクと紫で、「わたしの好きなものは ”おリボン” なの」と

聞いてもいないのに教えてくれるし(とても愛らしい)、

2歳の頃にはまだ誰にも教わっていないはずのハローキティーの魅力を理解していた。

そんな女子中の女子、女子猛者たちの思い出に残る縄文ホームパーティーを開きたい。

 

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ふわっとしたスタンプ。うさぎ率が高い。

 

(*1 )ここでいう女子力とは、年齢・性別に関係なく大多数が何となく

   想像・理解し得る ”かわいい(リボンモチーフやピンク色など)” を、

   思考の余地を挟むことなく愛せる感覚のこととしています。

 

 

準備

 

縄文カレンダーを参考に以下のメニューを作ることにした。

 

①どんぐり粉を使った山盛りきのこピザ

②栗のグラタンパイ

③鮭の北欧風ソテー

④山ぶどうの赤ワイン

 

文字列だけでいいねが貰えそうなメニューだ。

牛肉の苦手な甥に配慮して、メインは鹿や猪ではなく鮭にした。

 

紹介が遅れたが今年11歳になる甥は、

縄文好きな有名人のラーメンズの片桐仁さんを崇拝している未来の縄文ファンである。

このまま真っ直ぐに育ってほしい。

 

またメニューだけでなく追加のステルス縄文機能として、

ピザやパイに土器文様を描くことにした。

 

ピザは焼く前の生地に文様を描いてその上に子どもたちに具を乗せてもらい、

サブリミナル効果を狙う。

パイは焼き上がりにただの美しい模様のように見せつつ文様を記憶に刻みたい。

ピザ生地には簡単に描けそうな「入組三叉文」、

パイには見栄えの良さそうな「雲形文」を入れることにした。

 

 

二つの文様

 

ここで少しだけ文様について説明したい。

「入組三叉文」と「雲形文」はどちらも亀ヶ岡式の細分型式名である大洞式の文様で、

「入組三叉文」は大洞B式、「雲形文」は大洞C1式に分類される。

 

分類の順序は大洞B→大洞BC→大洞C1→大洞C2→大洞A→大洞A’となり、

「入組三叉文」の分類される大洞B式は、縄文晩期の初頭に位置付けられる。

 

亀ヶ岡文化と言えば遮光器土偶が有名で、縄文晩期を華やかに彩る文化であり、

その亀ヶ岡の文様を季節で表現するならば「入組三叉文」は文化の訪いを告げる春である。

 

一方「雲形文」が分類される大洞C1式は、亀ヶ岡文化の爛熟期にあたる。

大洞C1式の次の大洞C2式の時期には、九州では弥生時代が始まってしまうのだ。

こちらも季節で例えるならば、遠くの空に亀ヶ岡文化、

ひいては縄文時代の終わりを予見する、晩秋の頃といえるかもしれない。

 

 

調理開始!

 

前置きが長くなったがやっと調理開始!

同時にステルス作戦も開始したが、ピザ生地用の小麦粉にどんぐり粉を入れた途端、

色が違いすぎて子供たちにバレてしまった。

仕方なくどんぐり粉の袋を見せて安心だと説得したが、開始早々これでは先が思いやられる。

バレた時の言い訳を全く考えてこなかった。

 

早速バレた怪しい粉。

 

真剣な顔で生地に切り込みを入れる私を、初めは遠巻きに眺めていた子どもたちだが、

途中から「綺麗な模様だね」と一緒に文様を描いてくれるようになった。

この企画、考えれば考えるほどに意味があるのか不安だったので受け入れられて良かった。

またピザとパイの耳に、縄文のフリルである(と呼びたい)

大洞式口縁部によく見られるB突起をつけようとしたが、

生地が柔らかすぎて付けられなかったので今回は断念。

 

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分かりにくいが2段めが「入組三叉文」で、

三叉に分かれたY字の足の部位が隣のY字の足と入り組んでいる。

1段めは入組部位がくっついているものをイメージして、

姪の好きなように麺棒で丸型のスタンプを押してもらった。

3段めはY字で丸い目を囲んだ「魚眼三叉文(別名:玉抱き三叉文)」だ。

これらの文様はフォークと麺棒で簡単に描くことができた。

 

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グラタンパイの「雲形文」は是川縄文館の浅鉢を見本にした。

本物は丸型の浅鉢に施されているが、

今回はオーバルの皿を使っているので少し印象が少し変わってしまった。

亀ヶ岡土器の花形である「雲形文」にも「入組三叉文」が入っている。

写真が下手なのでわかりにくいが、真ん中の楕円を描いているところ、

左右のY字の足が絡み合っているのがわかるだろうか。

(今回の文様の選定から解説まで、ヤケマチ師匠には大変お世話になりました。

 ありがとうございます!)
 

 

一気に完成まで

 

ここから完成まで写真でお伝えします。

 

力作の文様に遠慮なくピザソースを塗られる。

 

ホワイトソースにむき栗をたっぷり混ぜ込んだグラタンパイ。

とても好評だった。

 

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鮭は分厚く切ってワイルドさを演出。

 

パイは少し焼き色が足りなかった…

 

山ぶどうのみで作られたワイン。
酸味が強めであっさりしている。

 

 

完成!!!

 

 

料理が完成してみると、縄文が入っているなんて全然わからない。

それでは意味がないと最後に少しネタばらししようと思っていたが、

ピザに文様を刻む辺りから「縄文」だの「土器文様」だのと私が言い続けていたらしく、

すっかりバレていた。

しかし女子たちは縄文を嫌がるどころか一緒に楽しんでくれて、

テーブルセッティングは ”縄文っぽい森” をイメージしてくれたらしい。

そう言えばリスやらキノコやらが飾られているが、

テーブル真ん中にある手の形をした花瓶の意味は最後までわからなかった。

理由なんてない。

これが ”かわいい” なのだ。

 

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これが ”かわいい” だ!

 

結局全く隠せなかったが、女子たちも甥も気に入ってくれたようだし、

姉はパーティーの様子を撮った写真にタグ(#縄文)を付けてSNSへ

投稿していたので成功と言えるのではないだろうか。

 

縄文でもかわいいは作れるんです!

 

今回使用した食材のほとんどが近くのスーパーで買えるもので

(ワインとどんぐり粉のみネットで購入)、

生地の文様もフォークなどキッチンにある道具で簡単に描くことができる。

 

みなさんもぜひ大切な人と一緒に、

こっそり縄文を忍ばせたパーティーをやってみては如何でしょうか?

 

 

贈り物にもステルス縄文

 

毎回帰省に合わせて手土産を用意しているので、今回は縄文度の高いものを選んでみた。

 

舟和本店 あんこ玉

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縄文時代、翡翠は貴重なものだった。

舟和本店のあんこ玉は色鮮やかでツヤツヤと輝いていて、特に抹茶味は翡翠のようだ。

また関東のみの販売で消費期限も短いため、

関東以外の地域へ持って行けば、まさに石の貴重さを体現する菓子となる。

 

山本道子の店 胡麻スティック・チョコスティック

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素朴な見た目から土器を連想させるクッキー。

じっと見つめていると釈迦堂遺跡博物館の焼成粘土塊に見えてくるかもしれない。

ピンクの缶入りは胡麻味とチョコ味があり、どちらも見た目と同じように素朴でやさしい味わい。

辛党の方にはサイズ違いでチーズバジル味もある。

 

『鹿よ おれの兄弟よ』 神沢利子 作 /G・Dパヴリーシン 絵

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子供たちへのステルス縄文な贈り物には『くまの子ウーフ』の著者でもある、

神沢利子さんの絵本を。

北方民族の猟師の男と鹿との暮らしが描かれた一冊。

縄文と直接の関係はないが、

人間も鹿も自然も全てが同等で違いがないことに充足して暮らす様子は、

縄文人の姿を垣間見ているようでもある。

文章と絵も繊細で美しく、縄文好きの大人への贈り物にも喜ばれるはず。

 

 

 

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